「十二国記(じゅうにこっき)」という小説の名前を聞いたことはあるけれど、内容が難しそうで手が出せていない…という方はいらっしゃいますか。
小野不由美さんが手がけたこのシリーズは、緻密な世界観と深いテーマを持った日本のファンタジー小説です。
ただし、巻数が多く「どの順番で読むのが正解?」「ストーリーが複雑そう」と感じている方も少なくありません。
そこで本記事では、これから十二国記を読み始めたい方に向けて、読む順番・あらすじの概要・作品の魅力をわかりやすく解説します。
この記事を読めば、最初の一冊を手に取る前の不安がなくなり、十二国記の壮大な世界にスムーズに入り込めるはずです。
十二国記とは?
『十二国記(じゅうにこっき)』は、作家・小野不由美さんによる本格ファンタジーです。1991年に第一作『魔性の子』が刊行されて以来、長年にわたり多くの読者を魅了してきました。
(ファンの中では小野不由美さん=小野主上と言われたりします、”王”のことです☺️)
物語の舞台は、架空の異世界「十二国」。(とてもわかりやすい地形です。)
十二の国ごとに天意(天の意志)によって選ばれた王が居て王を補佐する「麒麟(きりん)」が存在します。
(王は世襲制ではありません!天意です!!)
特徴的なのは、単なる冒険ファンタジーではなく、政治・倫理・人間ドラマが濃密に描かれる点です。王として国をどう治めるのか、人はどのように生きるべきかといったテーマが、読者に強い問いかけを与えます。
(主人公が思い悩み進んでいく過程が見れます)
また、NHKでアニメ化されたことで一気に人気が広がり、「ライトノベル」と「純文学」の中間に位置するような深みのある物語世界として、多くのファンに支持されています。
十二国記シリーズの読む順番
十二国記シリーズは全部で 長編8作品+短編集2冊 が刊行されています。各巻ごとに主人公や国が変わるため、独立して読める物語になっていますが、やはり 最初に読むなら『月の影 影の海』 からがおすすめです。
📚 発刊順と簡単なあらすじ
- 魔性の子(1991年)
現代日本が舞台。普通の少年(でも少し変わっている)が「異世界」とのつながりを持つことで、現実が大きく揺らぎ始める物語。
※シリーズの前日譚的な立ち位置。小野不由美さんが手掛けているホラーチックな感じが出ています。暗闇からおいでおいでをしている様子などは、話がわからないとホラー!!でも実は・・・。 - 月の影 影の海(1992年)
主人公・中嶋陽子が日本から突然異世界へと渡り、命がけで生き抜く中で成長していく物語。
👉 初心者はここから入るのが一番おすすめ!私はここから読み始めました。主人公が突きつけられた道を悩みながら進んでいく過程、そして行き着く先を確認できて最高です!! - 風の海 迷宮の岸(1993年)
十二国のひとつ「戴国」で、幼い麒麟・泰麒が国の王を探す旅に出る物語。
幼さゆえの葛藤と切なさが印象的。この時の泰麒は母性本能をくすぐられるような可愛さです。思わず守る側についてしまうかも! - 東の海神 西の滄海(1993年)
若き王・尚隆と麒麟・六太の物語。国を治めるとは何か、王の責任とは何かを描く政治ドラマ。麒麟・六太の葛藤も見られます。そして日本で暮らしていた時の尚隆のことも知ることができます。長く治世が保たれている秘訣は!(周りの補佐をしてくれている菅が優秀なのもある笑) - 風の万里 黎明の空(1994年)
再び陽子が主人公に。王となった彼女が、国をどう治めるか苦悩しながら歩む姿を描く大河ストーリー。陽子が荒廃した国をどうやって建て直してくのか。国は一人では収めることはできません。国ためになる方法を一緒に悩んで進んでいける仲間を見つけることができます。 - 図南の翼(1999年)
少女・珠晶が「自ら王になる」と決意し、旅に出る冒険物語。明るくテンポよく読める一冊。幼い頃からこんなに自立した考えを持つことができるなんてすごいですよ!!多少わがままで無鉄砲ですが人の考えを汲み取ることもできる。人気のあるお話だと思います。 - 華胥の幽夢(2001年・短編集)
十二国のさまざまな国と人々を描いた短編集。国ごとの特色や雰囲気を楽しめる。まだまだ知りたい他の国の話です。 - 丕緒の鳥(2013年・短編集)
国を守ろうと奮闘する人々や職人に焦点を当てた短編集。地味だが十二国記らしい深みがある。 - 白銀の墟 玄の月(2019~2020年・全4巻)
ファンが待ち望んでいた待望の新作。泰麒をめぐる壮大な物語で感動しかない!本当に泰麒の人生は波瀾万丈です。あんなに可愛かった泰麒がこんなに立派になって・・泣。となります!(必)事態が本当に進まず気持ちも落ち込みますが、絶対に見つける!という気持ちになりますよ。
🔰 初心者におすすめの読む順番
- 月の影 影の海 → 主人公と一緒に異世界の仕組みを学べる
- 風の海 迷宮の岸 → 十二国記の世界観にさらに踏み込める
- 東の海神 西の滄海 → 王と麒麟の関係性や政治ドラマがわかる
- 風の万里 黎明の空 → 陽子の成長と王の苦悩に共感できる
👉 ここまで読めば、十二国記の世界にしっかり浸かれます!その後に『図南の翼』『短編集』『白銀の墟』と進めば、シリーズをフルに楽しめるでしょう。
十二国記の魅力とは?
緻密に作り込まれた世界観
十二国それぞれに王と麒麟が存在し、独自の政治制度や文化が描かれています。まるで歴史小説を読んでいるかのようなリアルさが魅力です。王や麒麟がいない国はどうなのか・・。ぜひお読みください。
成長していく主人公たち
流されるままに異世界へ迷い込んだ登場人物が、苦難を乗り越え「自分の居場所」を見つけていく姿は共感を呼びます。特に陽子の成長物語は、多くの読者に支持されています。
壮大なストーリーと感情の揺さぶり
友情・裏切り・喪失・希望…。一冊読むごとに感情が大きく動かされるのが十二国記の真骨頂です。読み終えた後も余韻が残ります。
アニメ版十二国記について
アニメ化の概要
十二国記は、2002年からNHKでアニメ化されました。全45話が放送され、原作の「月の影 影の海」「風の海 迷宮の岸」「風の万里 黎明の空」などを中心に映像化されています。
原作との違い
アニメではオリジナル要素も追加され、原作を知らない人でも物語を理解しやすいように構成されています。ただし、原作未収録の物語やキャラクター視点の補足が入ります。
見どころ
- 美しい作画と独特の世界観の表現
- 陽子の成長を丁寧に描くストーリー
- 原作にはないサイドストーリーの追加
- 私はここに音楽・挿入歌を入れます!
視聴方法
現在はDVDやBlu-rayのほか、一部動画配信サービスでも視聴可能です。(dアニメストアでは配信しています)原作を読む前に観るか、読んだ後に観るかは好みですが、多くのファンは「読んでから観る」ことをおすすめしています。
まとめ
十二国記は、ファンタジー小説でありながらも、異世界で生きる人々の葛藤や成長、人間社会の厳しさをリアルに描いた名作です。読む順番を押さえておけば、複雑な世界観もスムーズに楽しめますし、アニメ版を合わせて視聴すれば、物語の魅力をさらに深く味わうことができます。
壮大な世界設定と個性豊かなキャラクターたちは、一度触れれば忘れられない魅力があります。これから十二国記を読み始める方も、久しぶりに読み返す方も、ぜひその奥深い世界をじっくり堪能してみてください。
最新刊情報まとめ
長編シリーズ
- 現在、長編シリーズの最新刊は 『白銀の墟 玄の月』(全4巻)で、2019年10月〜11月に順次刊行され、これがシリーズの完結編とされています。
- 広く見られる見解として、本編はこの作品で完結しており、長編の続編が出る可能性は低いとされています。
新作短編について
- シリーズ完結後、公式で 『幽冥の岸』 というタイトルの短編が、後日談として刊行予定と発表されています。この作品は『白銀の墟 玄の月』の続きにあたる内容です。
- 2020年12月12日の「十二国記の日」には、短編『幽冥の岸』の一話がデジタル配信され、高い注目を集めましたが、現在まで単行本としての正式刊行はまだされていません。
最新情報のまとめ
- 長編としては**『白銀の墟 玄の月』が最新かつ最終作。
- 短編では、『幽冥の岸』が刊行予定とされているものの、現時点では未刊行です。
- 完結済ではありますが、短編の続報があるかどうか、今後も公式な発表が気になるポイントですね。